とても久しぶりの投稿になります。
この時代、SNSを持たない私達ですが、毎日楽しく、そしてTRICKYは元気に活動しています!
ここ数年は、山梨県富士吉田市・西桂町の織物産地の産業PRに関わらせていただき
コロナ以前は、その関係で全国の産地見学など行く機会も多く、交流を重ねてきました。
今回はとても久しぶりの産地見学ということで、西桂町にある傘屋「槙田商店」さんと一緒に
愛知県豊橋市にある、前掛け専門店「Anything(エニシング)」さんに見学に行きました。
エニシングという屋号は、人と人が出会う=ご縁(えにし)が続いていく(ing)ことで役に立つ仕事をしたい
との想いから、社名を「エニシング(縁+ing)」にしたそうです。
2000年に創業され、当初は、漢字Tシャツの企画販売としてスタートしたそうですが
その後、日本に現在唯一残っていた前掛けの産地・愛知県豊橋の前掛け職人たちとの出会いがきっかけで
前掛けの制作をスタートしたそうです。
現在の織物産地界に、新規で工場を作ることは大変珍しく、
私たちの関わっているハタオリマチでは、未だ見たことがありません。
ここ数年で織物および織物関連事業にどんどん詳しくなっているのですが
この写真の装置は「整経(せいけい)」という
織物のタテ糸を揃えるための機械です。
織物には、糸に撚(よ)りを加えたり、染めたり、織ったりと…
とにかく1枚の生地を織るのに多くの工程があります。くわしくはこちら
その中のこの「整経」を行う機械、いわゆる整経機は山梨にもあります。
ですが、この整経機が「新しい」そして、「手作り」ってとこに個人的にはすごく驚き感動しました。
そう、このエニシングさんの工場は、1から全部自分たちで作り上げた工場なのです。
・「前掛け」という文化の面白さ
・天然繊維、染料を使った素材へのこだわり
・その土地の歴史ある織機
・手作りの新規工場
ものづくりの環境への配慮であったり、ストーリーを重要視される時代。
エニシングさんは令和のものづくりの最骨頂なのではないでしょうか。
槙田商店の代表取締役 槇田洋一さん
壁面には織機の部品がきれいに管理されています。
インテリアとしてとてもかっこいい。
エニシングの代表取締役社長の西村 和弘さんと槇田さん
前掛け用の厚地綿の生地
工場の動力はこちらのモーター。
このモーターも社員さんが持ち上げて取り付けたそうです!
外観も素敵。ロゴが引き立っています。
織物工場は動いている動作音が大きいのですが
この立地はなんと新幹線の線路の真横に位置しているので
近隣の方ともなにも問題なく稼働できるそうです。
そんな場所と出会えるなんて素晴らしいご縁ですね。
綿の他に、シルクや麻などさまざまな天然繊維を使います。
これはガラ紡。
ずらりと並んだオリジナル前掛け。
前掛けは、紐で骨盤部分でぎゅっときつく縛ります。
これは立ち仕事や重たい荷物を上げ下げする人のために考えられたデザイン。
このような前掛けの歴史、機能性などのストーリーが海外で支持されているそうです。
ヨーロッパ、とくに個人のオーナーのセンスが光る店が多いフランスにファンが多いとのことです。
額に飾ったり、洋服のコーディネートとして楽しんだり、逆に参考になる活用方法がたくさん。
そして、とってもおしゃれなオフィス。
海外のデザイナーがここで滞在して制作することもあるそうです。
理想です…
ここではエニシングさんのブランドのことや、工場を見学させていただいたことを書きましたが
夜のお食事会では西村さんの経営哲学や、社員さんのものづくりへの愛や、パッションを肌で感じ
刺激的なお話を沢山伺うことができました。集合写真をカメラで撮り忘れて残念!!
最近はオンラインの会議が増えましたが、
こうやって熱量を持って作り上げる会社や経営者の方に実際に会うことって
大事だし、やっぱ好きだな!と感じた一日でした。